特別養子縁組は、すべての子どもが愛情ある家庭で育つことを目的とした子どものための制度です。縁組の成立にはどのような条件があるのか、普通養子縁組との違いについて説明していきます。
Topic.04 日本における「社会的養護」とは?
Topic.05 特別養子縁組以外の選択肢について
養子縁組は、「子ども」のための制度です。
養子縁組とは、血のつながっていない夫婦と子どもの間に、法的な親子関係を築く手続きのことです。生まれてくる全ての子どもが安定した家庭環境で育つことができるように、「 親を必要とする子ども 」に対する特別養子縁組制度に目が向けられるようになりました。
さらに、お子さんを切に待ち望んでいる「 子を望んでいる親 」や、思いがけない妊娠や諸事情で「 子どもを育てられない親 」もいます。そこでベビーライフでは、「特別養子縁組」の制度を利用して、赤ちゃん・産みの親・育ての親の三者関係が円滑に進むことを目標に活動を行っております。
普通養子縁組と特別養子縁組の一番の違いは、特別養子縁組が断絶型の制度であり、産みの親との親子関係は終了となるのに対して、普通養子縁組は産みの親との関係が継続することです。民法で定められている普通養子縁組と特別養子縁組を以下の表にまとめました。この成立要件は、公的機関・民間問わず、養子縁組で戸籍を変更する上での必須条件となります。
特別養子縁組 | 普通養子縁組 | |
施行はいつ | 1988年(昭和63年) | 1898年(明治31年) |
できた目的 | 子どもの福祉のためにできた養子縁組の方法 | 「家」の跡継ぎを残す・存続のために作られた。 |
養親になるのは | 婚姻している夫婦(夫婦共同縁組) | 単身者・独身者もなれる |
養親の年齢条件 | 夫婦ともに成年で一方が25歳以上 | 成年(婚姻している未成年は可) |
養子になれる年齢 | 原則は、家庭裁判所に申し立てた時に6歳未満 | 制限なし |
実父母の同意 | 実父母の同意が必要(非摘出の子で、父の認知が無い場合は父の同意は不要) | 親権者の同意が必要。養子が15歳以上の場合は不要。 |
縁組の要件 | 父母による養育ができず、子どもの監護が著しく困難または不適当な場合。 | 未成年者の場合は、家庭裁判所の許可が必要 |
養育の試験期間 | 6か月以上 | 特になし |
実父母やその親族と子どもの関係 | 家庭裁判所による承認の審判が下り確定すると終了する | 実父母やその血縁者との親族関係は存続する |
戸籍の父母欄 | 養父母1組の氏名のみ | 実父母と養父母の2組の親の氏名が記載される |
戸籍の続柄 | 長男・長女など、実子と同様に記載 | 養子・養女 |
身分事項欄 | 養子縁組の記載なし [民法817条の2と記載される] |
縁組事項について記載される |
離縁 | 原則認められない。縁組が子どもの福祉を害するという具体的事実がある場合のみ可能。養父母からは離縁できない | 養父母または15歳以上の養子の協議でいつでも可能 |
養子縁組の「条件」について
特別養子縁組の成立に産みの親の条件は特にありません。ただし、産みの親が未成年の場合は産みの親の親権者の同意が、産みの親が婚姻関係にある場合は配偶者の同意が必要になります。対象となる子どもは原則として6歳未満の子どもに限られています。縁組成立後は、産みの親との親子関係は終了します。一方で普通養子縁組は、養親よりも養子の年齢が下であれば縁組が可能であり、実親と養親の2組を親に持つ形となります。養親になるための条件の詳細はこちらをご覧ください。
特別養子縁組を行う場合は主に、ベビーライフのような民間団体を経由する方法と、公的機関である児童相談所を経由する方法があります。
民間団体を経由する場合
民間団体は日本に29団体(平成30年4月1日現在)あり、多くの団体がベビーライフと同様、全国に対応しています。産みの親にかかる費用はありません。子どもと育ての親の愛着関係を築きやすくするために、早期の委託を心がけています。 ベビーライフでの縁組の流れは、「産みの親としてお困りの方へ」ページをご確認ください。
児童相談所を経由する場合
児童相談所は全国各地に配置されています。お住まいの管轄の児童相談所に連絡すれば、担当のケースワーカーが相談に乗ってくれます。費用はかかりません。 一時的に養育が難しい場合、産みの親の失踪などで縁組の意思が確認できない場合、6歳以上の子どもの相談などは、児童相談所にまずは連絡してみるとよいでしょう。
「社会的養護」とは何か?
社会的養護とは、実の親が何らかの事情で子どもを育てられないときに、実親以外の者が公的な責任で子どもを守り育てていく制度のことです。社会的養護には、児童養護施設や乳児院などの「施設養護」と、里親やファミリーホームなどの「家庭養護」の2種類があります。
家庭養護に含まれる里親制度には、「親族里親」、「養育里親」、「専門里親」、「養子縁組を希望する里親」の4種類があります。特別養子縁組制度は「家庭養護」の中の「養子縁組を希望する里親」の一つとして位置づけられています。いずれも子どものための制度であり、子を希望する親のための制度ではないことを理解することが重要です。
「施設養護」で育てられる子どもたち
日本で社会的養護を必要としている子どもたちの数は、国や行政が把握しているだけでも、約45,000人いると言われています(平成29年3月現在)。そのうち、児童養護施設に入所中の子どもたちは27,288人、乳児院に入所中の子どもたちは2,901人にのぼる一方、里親に委託されている子どもたちは4,973人に留まっています。
その比率は、おおよそ「施設:里親=8:2」となっており、いわば「施設養護」偏重の社会的養護の形になっています。その中で、養子縁組里親に委託されている子どもたちは227人です。一方、諸外国を見てみると、社会的養護が必要な子どもたちの40%以上が里親委託されています。
愛着(アタッチメント)形成の重要性
近年では子どもの成育過程についての研究が進み、子どもにとって信頼できる大人と深い愛着関係を築くことが発達の第一段階であることや、心の安定の基盤になることが分かってきました。愛着関係は「特定の人物」との間に形成されると考えられており、特別養子縁組を行う場合でも、出生後一日でも早く育ての親の手元で愛され育つことで、大人にとっても子どもにとっても深い愛着関係が築けると考えられています。
これら3点の現状から、国としても家庭的な養護を推進しようとしており、「特別養子縁組を行う里親」を含む「里親委託率」を2019年までに22%までに引き上げることを目標に掲げています。
特別養子縁組以外にも、もしかすると解決の道があるかもしれません。ベビーライフが出来ることは、子どもが幸せになる道を探すお手伝いです。どの道を選択するのかは産みの親次第です。産みのお母さん、またはそのご家族が、子どものために一番良いと思う選択肢を一緒に探していきましょう。
施設
一般的に「施設」と呼ばれている所には、乳児院と児童養護施設の2種類があります。 両施設共に、様々な事情から家庭で育つことができない子どもを専門スタッフが24時間体制で保護養育する施設です。
乳児院
「乳児院」とは、主に1歳未満の乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により、特に必要である場合は幼児も含む。)を入院させて、養育し、あわせて退院した者について相談やその他援助を行う施設です。乳児院を出た後は、親元へ戻るか、他の施設へ移るか、里親に委託されるかの3択になります。
児童養護施設
「児童養護施設」とは、主に1歳以上18歳未満の保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により、特に必要である場合は乳児も含む。)、虐待されている児童、その他環境上養護を必要とする児童を入所させて、養護し、あわせて退院した者について相談やその他援助を行う施設です。18歳以降は、施設との関係は希薄になりがちで、子どもは精神的にも経済的にも自立を求められます。
グループホームとファミリーホーム
両施設共に、様々な事情から家庭で育つことができない子どもを養育する施設です。似たような名前ですが、養育者の生活拠点がどこにあるかにより分類されます。
-「グループホーム(地域小規模児童養護施設)」ー 児童養護施設を小規模化・地域分散化し、家庭的な養育環境に近づけたものです。働く職員の生活拠点は自宅にあるため、家庭的養護に含まれます。
-「ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)」ー 主に里親が母体となっており、里親や元児童養護施設職員などと子どもがひとつ屋根の下で生活を共にします。 職員と子どもは一緒に暮らしているので家庭養護に分類されています。
ひとり親(シングルマザー、シングルファーザー)
行政支援や公的制度を利用し、自分の手で子ども育てていく方法もあります。近年、様々な事情により「ひとり親家庭」も多くなっており、支援や補助金は従来よりも充実している傾向にあります。ひとり親家庭の場合は経済的な問題のほかに、家族や周囲からの精神面のサポート体制があるかどうかが重要になってきます。
→お金の不安 「ひとり親家庭の支援について」
→お金の不安 「生活保護制度について」
里親制度
里親制度には4種類あり、「養子縁組を希望する里親」の他に、「養育里親」、「専門里親」、「親族里親」があります。 里親制度は、家庭的な環境下で子どもの愛着関係を形成し、養護をおこなうことを目的としており、子どもは里親の家庭で育ちます。なお「養子縁組を希望する里親」以外の里親制度では、子どもにかかる生活費等は税金でまかなわれます。
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